お姫様は王子様を演じてる



「あの…足が動かなくて…肩を貸してもらいたいんです…」



「は…!?
なんで足が動かないの?」



悠斗の呆れた視線が痛い。


「えっと…怖いビデオ見ちゃって腰が抜けちゃって…」



我ながら間抜けな言い訳だけど。
『澪に襲われました!』なんて言えないから仕方ない。



「うわ…何それ…
ダッサ……」



我慢、我慢して私。
殴るのは今度でもできるんだから。



「すいません、お願いします…」



仕方ないというように私の腕を取ると自分の肩にかける悠斗。



そのまま寄り添うようにして何とか立ち上がる。



「重い…」



「……すいません」



謝りながら私は悠斗により一層体重をかけてやった。


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