甘いケーキは恋の罠



人だかりの中央を人と人の隙間から覗くとそこにはマジックをしている大学生位の男の子がいた。


「次は何方か手伝っていただけませんかー?」


そう言って辺りを見回した男の子と目が合う。


そしてその男の子は私に近寄ると私の手首を掴んだ。


「お姉さんよろしくお願いします!」


男の子は私の手に何かの種を乗せると上に赤い布を被せ、カウントを始めた。


「Three、Two、One!!」


すると私の手の上にあった種は白や赤、黄など色とりどりな花束になっていた。


「Present for you.」


にっこりとそう言われて、沈んでいた心が少しだけ明るくなる。


「ありがとうございます。」



その後、最後までマジックショーを見てからその場を立ち去ろうとするとマジックを行っていた彼から引き止められた。


「すいません、俺あなたに一目惚れしました。これ、俺のアドレスです、良かったら連絡下さい!」


そう言って渡されたのは紙の切れ端に走り書きでメールアドレスがかかれていたものだった。



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