【完】Rose.
「……ひとまず、私の話を、最後まで聞いてもらえますか」
?も無ければ、有無も言わさない様子。
聞くしか、無いじゃない。
「はい…」
「……貴女を、見つけて、自分のせいで見失って。けれど、また貴女を見つけた。貴女が何を思っていようと、抱えていようと、側にいたい、一番近くで見つめていたい、声を聞きたい、息遣いを感じていたい。…そう思ったから、手に入れた権力で、まずは貴女を側に置きました。……けれど、私もただ自分の欲求で仕事をするような阿呆ではありませんから」
それは、そうだ。
でなければ、この若さで専務になどなれない。
「貴女を秘書にと希望を出すまでに、色々と調査をしました」
勝手にすみません。そう謝る専務を前に、少し驚きつつも、まぁそうだろうと予想はしていた。
けれど、調査したなら、何故、私を選んだの?
聡明な貴方なら、私の粗さや、脆さをきっと分かったでしょう。
ただ走るだけの、個人プレー、周りから見れば、一人で頑張る痛い女。
「…ますます、欲しくなりました。…貴女の仕事ぶりに、魅了された。力強く走って、人を引き付ける。力強いのに、きめ細やかで繊細。貴女が担当した案件は全て、クライアントの満足度はほぼ100%だった」