佳人な先生

「もう1枚
 あるわよ。」


「え?」


急に神宮寺さんが

口を開いた。


「だから!
 その手紙、
 もう一枚あるわよ。」



神宮寺さんの

目線の先にあるのは

瑞城先生からの手紙。


「どういう・・
 ことですか??」


「たまたま見たのよ。
 月冴がお兄さんの
 病室の引き出しから
 その封筒を出して
 手紙を読んだあと
 一枚だけ戻して
 一枚は自分の
 内ポケットへ入れたのを。」



う・・そ・・・・。


この手紙に・・・


続き・・・?


「・・もう一枚・・・。」



「そうよ。
 この話しが
 あなたと月冴にとって
 どう影響するか
 知らないけれど
 この際、
 問題になりそうな
 ことは全部出して
 おいたほうが
 いいでしょ。」


「ありがとう・・
 ございました。」


「お礼なんて
 言わないでよ!
 それでうまくいかなく
 なることだって
 ありえるんだから!
 そしたら・・・」


最後の言葉を

神宮寺さんは飲み込んだ。


そして立ち上がって

部屋のノブに手を

かけて私に言った。


「ブーケ・・・
 キャンセルしておいて。」



「・・・はい。」



「・・けど
 またすぐに注文しに行くから。」



「・・・はい。」



「・・けど
 月冴はもういいわ・・。」


「え?」


「もっといい男
 捕まえてくるからって
 お決まりのセリフでも
 言っておくわ。
 ・・ブーケ作ってよね。」


「はい。」


2人で少し涙ぐんで

微笑みあった。 
< 164 / 217 >

この作品をシェア

pagetop