佳人な先生
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   手 紙
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桐乎へ


桐乎がこの手紙を

読んでいるころには

俺はもうこの世には

いないだろう。


俺は桐乎が入学して

くる年のはじめに

余命宣告を受けた。


つきつけられた現実。

実感のない毎日。

過ぎていく時間。


そして春になって

入学の時期になり

新入生を見て

とても悔しい

気持ちになった。


俺は残り少ない

時間の中

君たち生徒に

何を残してやれるのかと。


自分の無力さに気づき

涙を流したこともあった。
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