不遜な蜜月
骨折してるとか手術後とかではないし。
いや、そうなると姉が問答無用で迎えに来るか。
「香坂さんは偉いね」
「い、いえ・・・・・・」
自然に頭を撫でてくる誠に、つい照れて俯いてしまう。
(お兄ちゃん、って感じ)
姉しかいないから分からないけど、兄がいたらこんな感じだろうか?
「そういえば、会社は産休とか取るの?」
「え? あぁ・・・・・・」
誠に言われて思い出す。
考えなければならないことが、いろいろあるんだった。
「そう、ですね」
タクシーが来て、真緒は冷たい風から逃げるように、車へと乗り込んだ。
「うん。じゃあ、待ってるね」
電話を切り、真緒はテーブルの前に座り直す。
テーブルの上には、通帳や電卓、ノートが置いてある。