野獣な執事とワンコお嬢様
病室に入ると、まだ琴音は眠っていて。



寝てる間に来れてよかった…。



しばらく寝顔を見てたらノックが聞こえ、タマキさんがやってきた。



「学校に連絡入れたからな」

「あっ、すっかり忘れてました…」

「青柳も電話くらい入れとけば?」

「いえ、面倒なので。タマキさんは帰られないんですか?」

「帰る。今日はいろいろやることあるしな」

「いろいろ?」

「あの魂の抜けたボンボンに救世主が来る」



それって…。



まさか雪乃さんだったり…。



「どんな意味ですか?」

「大学やめて、花嫁修業するってよ。雪乃が引っ越してくる。荷物運んでからだから、少し先になるけど」

「それはよかった!!」

「急に昨日の夜決まったから、まだ誰も知らねぇけど。龍蔵もマシになるだろ」



本当によかった。



これでもう、一個の問題は解決。



よく決断したよ、雪乃さん…。



「俺は雪乃の家に行くから、任せていいか?」

「しかしお嬢様が…」

「ガキじゃねぇんだ。ひとりでも平気だろ?」



そんなことあるわけない。



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