野獣な執事とワンコお嬢様
それから頭は真っ白で、動きなくない。



裸でベッドに横になるあたしに対し、横に座るヒョウは背を向け、涼しい顔でネクタイを締め直している。



「ヒョウ…」

「青柳です」

「あ、青柳…」

「なんです?」

「何を隠してるの?」

「それはアレですか?言えという命令ですか?」

「卑怯…だよね?」



命令だなんて思われたくない。



だけど、ヒョウが何を思ってるのか、全然わからないよ…。



ため息をついたヒョウは、こっちを向いて切ない目。



見たくない。



そんな顔…。



「言わなかったのは、わたくしの責任です。泣きそうな顔、しないでください」

「だってっ…」

「冬休み、お暇をいただきます」

「えっ…?」

「何度も言おうと思ったのですが、お嬢様があまりにも楽しみにしていたものですから…」



言い出せなかったんだね…。



それはあたしのせい。



だけど、四六時中一緒にいるヒョウがどうして…?



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