野獣な執事とワンコお嬢様
いやいや、琴音はダメだ。



嫌われたって、ダメなもんはダメ。



「なにがダメなの?」

「お嬢様は有栖川家でいちばん非力で、いちばん狙われやすいんです」

「そうだけどさ…」

「心配するのは当然ではないですか?」

「仕事に口出すなって、2号くんが言ったんでしょ?琴音だって心配してたんだよ?」



当てつけか!?



俺が言ったからか!?



あの単細胞ヤロー…。



もし琴音の身になにかあったら、俺はどうしたらいいわけ?



やっぱり許せるはずもない。



冷静になるため、少し時間をおいてから琴音の部屋へやって来た。



ふてくされてるのか、ベッドにうつ伏せになってて動かない。



「お嬢様」

「寝てます」

「お話があります」

「聞かない!!ヒョウなんて知らない…」

「困りましたね…。お嬢様がそんなに頑固だとは知りませんでした」

「あたしは…好きなことしちゃダメなんでしょ?もういいよ…」

「知らない場所に行かれては、お嬢様を守れなくなります」



それがいちばん心配なこと。



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