野獣な執事とワンコお嬢様
ヒョウにここまで恐怖を感じたのは初めてだ…。



怖い、ヒョウが…怖い…。



「怯えてらっしゃるのですね?」

「やめてっ…」

「逆にそそられますが。このままムリヤリ…なんて、しませんけど」

「離して…」



離すつもりはないのか、上からただ、ジッと見つめられてる。



やっぱり怒ってる…。



「お嬢様、執事はわたくしではなくともよろしいですか?」

「えっ…?」

「お嬢様が龍馬様にそう仰れば、わたくしは解雇されます。いかがなさいます?」

「そんな…」

「代わりの者がすぐに決まりますよ。そうなさればよろしいのでは?」



そんなこと思ってない!!



ヒョウが帰ってきてくれて、初めは戸惑ったけど…あたしは嬉しいのにっ!!



まさかっ…あたしがさっき言った言葉…?



『ヒョウじゃなくたって』



あたし…ヒョウを否定したんだ。



そっか、それでこんなに怒ってるんだ…。



ここに来てからずっと、あたしの為にがんばってくれてるのに…。



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