野獣な執事とワンコお嬢様

それに気がつき、なぜか涙が溢れた。



「なぜ泣くのです？」

「ごめんっ…なさい…」

「他に言うことは？」

「ヒョウが…いいよっ…」



その言葉で、腕が離された。



体を起こしてくれて、涙を拭ってくれた。



優しく笑うヒョウの顔…。



ホッとした、次の瞬間。



「お嬢様、謝る時は心を込めて、誠心誠意謝ってください」

「へっ!?」

「やり直しです。さぁ、もう一度どうぞ？」

「ごめん…なさい…」

「聞こえません」

「ごめんなさいっ!!」

「続きは？」

「執事は…ヒョウがいい…」



は、恥ずかしいんですけど…。



涙が止まっちゃったんですけど。



「繋げて言えると尚よろしいですよ」

「ごめんなさい、執事はヒョウがいい…」

「お願いする時は低姿勢が基本ですが」

「申し訳ありませんでした。ぜひ、この若輩者の執事を引き受けてください」

「まぁ、合格にしましょう」



やっぱり…あたしってヒョウの手の上で踊ってる…。