野獣な執事とワンコお嬢様
【ヒョウ】



日本に戻る条件として、実務経験が必要だった。



知力、体力、洞察力、生活力、記憶力。



いちばん重要なのは実践力。



すべてをクリアしなければ、俺はここにこれなかった。



元から人と違うことは幼い自分でもわかっていた。



漢字が読めたのが3歳だ。



同い年の琴音に初めて会った時、あまりの無知さに感動したくらい。



あの頃の俺は、知りたいことがたくさんありすぎて、琴音とふたりで毎日が宝探し。



『お前は少し、他の人間より頭がいいらしい』



そう言われたのが4歳。



遊び相手がいない琴音の相手をしながら、家に帰って勉強していた。



母親も、俺にいろんなことを教えてくれて。



琴音の父の執事である、俺の父親。



母親は昔、有栖川家のメイドだったそうだ。



紅茶の淹れ方なんかは、全部母親が教えてくれた。



一方、琴音は何も知らないまますくすくと成長。



バカ、アホ、チビ。



これが、ガキの頃の琴音の印象だ。



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