野獣な執事とワンコお嬢様
バカか、俺は。



忘れてる約束なんて、なかったことにすればいいのに…。



身支度を整え、洗濯開始。



キッチンに行き、シェフの手伝い。



「はい、だし巻き卵」

「いただきます」

「青柳くん、座ってなよ…」

「なんか慣れってヤツみたいで、立って食べた方が楽なんですよ」

「片手間にご飯なんて、体に悪いって」



だって時間がない。



シェフは龍蔵さんの無理難題をこなすので忙しいわけだし。



学食に行けない琴音の弁当だって作らなきゃならない。



「おいしいです」

「みそ汁、熱いから気をつけて」

「いただきます」

「魚は骨あるからね」

「食べますよ、そのまま」

「刺さるから…」



詰め込み、流し込む。



琴音の洗濯物を干し、次は食堂のテーブル。



大きなテーブルの真ん中に花を飾る。



よし、完璧だ。



「お嬢様、5秒以内に起きないと襲いますよ」

「なんでっ!?」

「おはようございます」

「お…はよう…」

「本日の目覚めはよろしいようで」

「最低な起こし方…」



寝起きの琴音はブサイクだ。



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