野獣な執事とワンコお嬢様
口すらきかない琴音を尾行してるなんてバレたら…それこそ最悪だろ。



タマキさんに頼むのが正解だと思ったのに…。



「青柳が来る前、龍馬様からお前のことは聞いてる。出された条件も、琴音に対する気持ちも」

「ご存じでしたか…」

「琴音がお前を好きにならない限り、琴音は手に入らねぇらしいな」

「そうですよ」



琴音が俺を好きにならなければ、俺は本当にただの執事だ。



今の状況を楽しんでるのも事実。



急に現れた敵に、正直焦りを感じてる。



「琴音はお前のこと、好きじゃねぇもんな」

「ははっ…、オブラートに包んでもらえますか？」

「ガキの頃のまま、お前に懐いてるだけだ」

「言われなくともわかってますよ」

「本当にわかってんのかねぇ？まぁ、当日は任せとけ。だけど、俺は琴音の恋愛に手出しはしねぇから」



タマキさんがちゃんとモノを考える人だったなんて、正直ビックリだ。



当日は俺が、用事のある龍蔵さんの執事代理か…。



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