野獣な執事とワンコお嬢様
俺が琴音に何をしても、怒るのはいつも俺の父。



琴音の父は、それでいいと言っていた。



他の大人との関わり方が、よくわからない。



そんな大人に囲まれ、日々勉強。



学べることは好きだったし、今でも楽しい。



だけど、そういうことだけじゃ、世の中はまわらないんだと、最近感じ始めている。



「欠陥だらけです…」

「だろうな」

「頭はいいんですよ?」

「知ってるよ。とにかく、お前は寝とけ。琴音だってガキじゃねぇんだから、どうにでもなる。それが、お前に足りない『甘え』だ」

「わかりました…」



ベッドに戻ると、タマキさんは笑って俺の頭をクシャッと撫でた。



なぜか照れくさくて、隠れるように布団に潜り込む。



「寝てなかったらシバき倒すかんな~」

「わかりましたって…」



部屋を出てったタマキさんを確認してから目を閉じた。



ひとの気持ちは難しい…。



とくにわからないのは、あのバカ犬だけど…。



アイツは昔から俺を困らせて、難題を押しつけてくる…。



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