野獣な執事とワンコお嬢様
そんなことを考えていたら、いつの間にか眠っていた。



自然に目が覚め、部屋の薄暗さに気が付く。



フルーティーな匂いが…って、琴音?



俺のベッドに頭を置き、スヤスヤ眠っている…。



いつ来た?



部屋には入るなって、あれほど言ったのに…。



寝てるんだから、少しくらいはいいよな?



手を伸ばし、頭を撫でた。



柔らかい髪の毛…。



これを思い切り引っ張りたい。



ってのは、願望であって、本当にはやらない。



マシュマロみたいな頬は、白くてきめ細かい。



なぜかわからないけど、好きだ。



絶対手に入らないものだと、ガキの頃からわかっていた。



身分が違うし、琴音が俺を好きになるなんて、ほぼあり得ない。



運よく頭がいい俺は、琴音の父親である、有栖川龍馬に気に入られていた。



俺に最高の教育を与えたのも、龍馬様で。



10歳の誕生日に、龍馬様は俺にこう言った。



『欲しいモノはあるか?』



俺が勉強をがんばっていたから、ご褒美をやると。



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