野獣な執事とワンコお嬢様
モノに興味はなく、勉強に必要なものはすべて持っていて。



『ムリを承知で…琴音が欲しいです』



このころの俺は、どうしても琴音に会いたかった。



ふと気づいた時、自分の周りには誰もいなくて。



毎日がつまらないと感じた時、思い出したのは琴音との約束だったから。



一目でいいから会いたかっただけだった。



俺の言葉に、豪快に笑った龍馬様は、笑い終えてからこう言った。



『お前にはムリだ』

『わかってます。僕は…執事の子どもですから』



手に入るなんて、思うはずがない。



琴音はお嬢様で、俺はその父親の執事のガキってだけ。



考え込んだ龍馬様は、笑いながら、俺に条件を出した。



『もう少し成長したら、執事として、琴音に仕えろ。琴音の言葉は絶対だ』

『そんなのイヤです!!』

『お前の気持ちは自分から言ってはならない。琴音から好かれ、琴音がヒョウといたいと願ったら、何も言わず、琴音をお前にやろう』



俺には希望だった。



< 96 / 500 >

この作品をシェア

pagetop