家元の寵愛≪壱≫


「ゆの、隼斗さん。ご結婚おめでとうございます。隼斗さん、ゆのは宇宙一大事な親友です。一生、彼女の傍にいてあげて下さい。では、お2人の門出をお祝いし………」


そう言った玲は目を瞑り、呼吸を整え、


「えいっ!!」


掛け声と同時に酒樽の板が見事に……。

玲は空手の黒帯。

ジュニアの全国大会で2位の成績。


初めて見る彼女の空手姿が鏡開きだなんて……。

思わず、感動して笑みが零れた。


あっ、だからパンツスーツ?

彼女は気合を入れる為に大股になり、

スカート姿では出来ないような格好をしていた。


この為にオシャレまで我慢して……。

そう思うと涙が溢れ出した。


―――――玲、本当にありがとう。


「ゆの、せっかくのお化粧が台無しになっちゃうよ?」

「……うん」


玲が満面の笑顔で近寄って来た。


「玲、ありがとうっ」

「ホントに綺麗だよ、ゆの」


どちらからともなく手を取り合い、

そして、抱き合った。


< 414 / 450 >

この作品をシェア

pagetop