家元の寵愛≪壱≫
「これは見事な切りっぷりでしたねぇ。では、勝者のお名前をお伺い致しましょうか?」
静乃さんは不敵な笑みを浮かべながら、勝者の元へ歩み寄る。
「………都々木 皇(つづき こう)です」
皇くんは照れながら答えた。
その横で悔しそうな表情の隼斗さん。
そんな彼を見ながら、面白がっている玲のお兄さん。
「俺らも歳だな、隼斗」
「知るかッ!!」
内心、ドキドキと焦りながらも
勝者が玲のお兄さんでなくてホッとしている私。
だって、玲のお兄さんって言ったら『野獣』だもんね。
お弟子さんに促され、彼らの元へ歩かされると。
「ゆの、ごめん」
「フフッ、仕方ないですよ。皇くん、18歳ですから」
「ゆのまで、俺をオヤジ扱い?」
「え?いや、そういう意味じゃ……」
「おや?早速、夫婦喧嘩ですか~?」
「「違います!!」」
静乃さんの声に応えるようにハモる私達の声。
それを聞いた会場の人々からドッと笑い声が溢れ出す。
「では、新婦ゆのさん。勝者に熱い口づけを……」