家元の寵愛≪壱≫


「これは見事な切りっぷりでしたねぇ。では、勝者のお名前をお伺い致しましょうか?」


静乃さんは不敵な笑みを浮かべながら、勝者の元へ歩み寄る。


「………都々木 皇(つづき こう)です」


皇くんは照れながら答えた。

その横で悔しそうな表情の隼斗さん。

そんな彼を見ながら、面白がっている玲のお兄さん。


「俺らも歳だな、隼斗」

「知るかッ!!」


内心、ドキドキと焦りながらも

勝者が玲のお兄さんでなくてホッとしている私。


だって、玲のお兄さんって言ったら『野獣』だもんね。


お弟子さんに促され、彼らの元へ歩かされると。


「ゆの、ごめん」

「フフッ、仕方ないですよ。皇くん、18歳ですから」

「ゆのまで、俺をオヤジ扱い?」

「え?いや、そういう意味じゃ……」

「おや?早速、夫婦喧嘩ですか~?」

「「違います!!」」


静乃さんの声に応えるようにハモる私達の声。

それを聞いた会場の人々からドッと笑い声が溢れ出す。


「では、新婦ゆのさん。勝者に熱い口づけを……」


< 418 / 450 >

この作品をシェア

pagetop