家元の寵愛≪壱≫
漸く席に戻った時には、
ステージ上に次の余興準備が整っていた。
「えぇ~では、次は女性陣の出番ですよ~?心の準備は宜しいですか~?」
「「「ハーイ!!」」」
何故か、楽しそうに答える友人達。
私は『女性陣』と聞いて、心中穏やかではない。
「では、参ります!……新郎の愛のお姫様抱っこ争奪『絶品ミックスジュース作り』です!!」
「へ?」
一斉に視線が注がれるステージの上には色鮮やかな食材が並び、
そして、長テーブルの上に幾つものミキサーが用意されている。
だけど、私の脳内はステージのセッティングよりも
『新郎の愛のお姫様抱っこ』がリフレインして、
今にも震えが出そうな程、動揺していた。
静乃さんの掛け声に合わせ、数人の女性がステージ上へ歩いて行く。
高校の友達・沙耶ちゃん。
大学の友達・佳枝ちゃん。
香心流のお弟子さん・美奈子さん。
そして………。
「えっ?」
「おいっ、母さん、何でいんの?」
「何でって、お姫様抱っこして貰う為よ、ねぇ?」
お義母様は沙耶ちゃん達に同調を求めるように声を掛けた。
えぇーっ?!
お義母様もお姫様抱っこを?!!