家元の寵愛≪壱≫


「それでは、新郎に愛のお姫様抱っこをして頂きましょう♪」

「ゆの」

「ッ//////」

「おっ、さすがですねぇ♪抱き慣れてる感じがしませんか~?」


静乃さんの一言で会場内が冷やかしの声に。


お義母様が仕立ててくれた着物ドレス。

西陣織の反物をあしらって華やかなドレープが効いている。


そして、彼のベストも同じ反物で出来ており、

私達はペア衣装で注目を浴びていた。


隼斗さんが中々下ろしてくれないから、

周りからシャッター音が鳴り響いて途切れない。


しかも、それに応えるように……。

――――――チュッ

ッ!!/////////


またしても、突然唇を奪われる始末。

本当に恥かし過ぎて眩暈がしそう。


皆からの視線を避けるように彼の肩口に顔を埋めると、


「ゆののは、きな粉味だった」

「へ?」

「アレは多分、黒ゴマきな粉」

「嘘ッ!!」

「いや、マジで。恐らく、静乃さんの粋な計らいだと思う」


………小さな声でそう呟いた彼。

静乃さんに視線を向けると、優しく微笑んでいた。


――――――静乃さん、ありがとうございます。


< 426 / 450 >

この作品をシェア

pagetop