家元の寵愛≪壱≫


…………視線が逸らせない。


彼が私だけをじっと見つめるから。


肩に置かれた手は優しく髪を撫で、

そして、極上の笑みを浮かべ

私だけに囁き掛ける。



―――――最高の愛の囁きを



そんな彼の気持ちがダイレクトに心に響く。


大勢が見守る中でも彼は堂々と愛を囁く。


私だけを見つめているのだと。


そして、こんな私にありのままでいてねと。


………極上に甘い声音で。




そっと差し出された彼の手。


私は無意識にその手に自分の手を重ねた。


すると、彼に引き寄せられるように身体がふわりと浮き、

彼の顔がグンと近づいた。


そして、顔を更に近づけた彼は、愛を囁く。


―――――ありのままでと。



私の瞳からは温かい雫が溢れ出し、

彼を見つめて小さく頷いた。



彼の愛に応えるように……何度も何度も。




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