家元の寵愛≪壱≫
「こうして、ゆのの笑顔が見れるだけで親は嬉しいものだよ。これからは父さんより彼を第一に、彼と共に人生を歩みなさい」
「………はい」
思わぬ父親の言葉に再び涙腺が緩んで来た。
「本当に素敵なお式だったわ。ゆのちゃん、ありがとうね」
お義母様が優しく両手を包み込んでくれる。
「至らぬ息子だが宜しく頼むよ」
「………お義父様」
包み込まれている手にお義父様はそっと手を添えた。
お2人の温かいお気持ちが嬉しくて嬉しくて。
「未熟者ですが、末永く宜しくお願いします」
私は再び深く腰を折った。
これは『妻』として、
藤堂の『嫁』として、
そして2人の新たな『娘』として。
さゆりさんは気を遣って、先に車で待っているという。
本当にどこまでも謙虚な人なのだろう。
次に逢う時はきっと、
素直に『お母さん』と呼べそうな気がする。
スタッフ以外誰も居なくなったロビー。
隼斗さんと自然と視線が絡み合う。
「俺らもそろそろ帰ろうか」
「………はい」