家元の寵愛≪壱≫


隼斗さんが私を抱きかかえたまま扉を開けた先は……。


「今日からここが俺達の家だよ」

「………え?」


脳内が緊急停止しているみたい。

彼の言っている意味が解らない。


俺達の家って、離れはどうしたの?



「新婚って言ったら、やっぱりこういう所だよな?」

「………」

「母さんが勝手に準備してたから1年は我慢したけど、俺的にはやっぱり新婚は別居じゃなきゃ!」

「………えぇぇぇえッ?!」



思わず発狂してしまった。


『俺達の家』&『別居』

それって、ここに住むって事?


玄関に入るとゆっくりと下ろされ

そして、再び手を繋ぎ、

彼のエスコートにされるがままに着いて行く。


すると、


広々としたリビングに

スッキリとしたダイニング。

高性能な調理器具が並ぶキッチンに

スタイリッシュなバスルーム。

明るい感じのゲストルームに

落ち着いた雰囲気の和室と

まだ何も施されていない少し小さめな部屋が1つ。


そして、最後に訪れたのは………柔らかい灯りが灯る寝室。



既に家具は勿論の事、

カーテンや照明まで殆どが揃っていた。


唖然とする私に、


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