運命の果ての恋〜歴史は変わらない〜



(くっそぉ…)

美夜は一人悔しさを感じていた。


『阿呆』

そう、重太郎が呟いていたのが"見えた"


聞こえたわけではない。

見えた、のだ。


口の動きを確認した後。

目があったのがほんの数秒。


その数秒のうちに、重太郎はニヤリと口元をあげた。

よけいに、負けたような気がした。


人に負けないように歩きつつ、重太郎を睨んでも。

重太郎は前を向いて歩いて素知らぬ顔。


奥歯を噛み締めて、まだ睨んでいると。

強い痛みが肩にはしったと頭で確認した頃には。


人がぐちゃぐちゃに掻き回されていた。

否、美夜が倒れて視界が定まらないのだ。


多分次まっている痛みは理解した。

数秒がゆっくりゆっくり流れていた。

堅く目をつむる。


すると。

また、倒れた時に抱き留められる。


何回目だろうか。美夜にもガチでデジャヴになりかけていた。

またあの人だったら。


つっこもうと思って。

顔を見る。



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