Dearest
段々と雷が近付いてくる気配がすると、いきなり家中の電気が消えた。



「やだっ!停電!?」

「みたいですね」



停電に動揺するアキをよそに冷静なラヴ。


家の中は真っ暗になり、何も見えない。




すると地響きを立てながら大きな音の雷が落ちた。




「きゃあああああ!!!!」

「うぁぁぁぁぁぁ!!!!」



驚いたアキと子ども達は悲鳴をあげる。




「びびったぁ…心臓止まるかと思ったよ―!!」

「本当よ。雷はいきなり落ちるから嫌い。心臓に悪いもの」

「…あなた達の声の方が心臓に悪いですよ」

「何でラヴはこんな時までそう冷静なんだよ」



レオンとアキにツッコんだラヴにアシュリーは呟く。




「空ピカピカ光ってるね。また落ちるかな」



レオンはカーテンを捲り、外を眺める。


土砂降りの雨が降りしきる空は、雷の光を間隔短く光らせていた。




「ぎゃあああああ!!!!」

「うぉぉぉぉぉぉ!!!!」


再び大音量の雷が落ちる。


地震のように雷の音で家がカタカタ鳴っていた。




アキは驚いた衝撃で飛び跳ね、誰かに抱き付く。




「ん?誰!?」

「私ですよ、アキ」


アキが抱き付いたのはラヴ。



暗くて顔は見えないが、抱きつかれているラヴは嬉しそうだった。




「大丈夫ですよ。すぐ遠くへ行ってしまいます」

「別に恐くないもん!!」

「…では」



ラヴがアキを離した瞬間、また雷が落ちた。




「いやぁぁぁぁぁ!!」



アキが耳を塞ぎながら再びラヴに抱き付くと、ラヴはフッと鼻で笑った。




「ほら、恐いんじゃないですか」

「うぅっ…」



ラヴは擦り寄るアキを強く抱き締めた。




「…おい、暗いのをいい事に変な事するなよ。バカ夫婦」

「何、何!?俺も混ぜて〜♪」

「レオンは黙ってろ!」

「痛い!アシュリー、ふざけるな!!」



暗闇の中、レオンを殴ろうとしたアシュリーは間違ってサミュエルを殴った。
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