Dearest

1・side of Aki

寂しくて
寂しくて

泣いてばかりいた…







「お姉ちゃん…お母さんは?」

「アキ、何度も言ってるでしょ?お母さん達はお仕事でイギリスにいるの」



あたしは物心つく頃からもう、両親とは暮らしていなかった。



お姉ちゃんが親代わりで、家にはお姉ちゃんとナツと祖母だけがいた。


祖母は働きに行っていていつも不在。




「…明日、授業参観があるの…」

「我慢しなさい。私の授業参観もお母さん来た事ないのよ」



わかってるけど寂しいんだよ、お姉ちゃん。



みんなお父さんやお母さんが来て喜んでる。


嫌がる子もいるけど、みんな結局は嬉しそうな顔をしてるもの。




でもあたしには…

あたしを見に来てくれる人はいない。


それが凄く寂しいんだよ。





だって家族っていうのは、お父さんがいてお母さんがいる。


なのにあたしはその2人にたまにしか会えない。




寂しいって言っても

『施設の子なんかみんな家族がいないのよ?アキも我慢しなさい』

としか言ってくれない。




でもこんなのって、施設の子達と変わらないじゃない。



そう思ってた。
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