Dearest
だけど恋愛感情は持った事は一度もなかった。



もしかしたら愛された記憶がないから、どれが愛情なのかがわからなかったのかもしれない。





そんな時、俺の心を揺るがす女性が現れた。



職員としてやって来たその女性は見た目は普通なんだけど、幼心にほっとけないっていうか甘えたくなるというか…


不思議な雰囲気を漂わせていた。




「アキ〜♪」

「今日も元気だね、レオンは」

「アキに会えたからだよ♪」



俺はその日からアキのそばにいるようになった。




上手くは言えないけど、この人は俺を愛してくれそうな気がしたんだ。


俺の心の底をちゃんと見てくれる気がした。



俺の堪は当たった。






「レオンってさ、いつも笑ってるよね」

「俺はスマイル0円人間だからねん♪」

「何だよ、それ!…でも捨て子って一番悲しくね?傷付かないの?」



今更そんな事言うなよ。

前から俺は傷付いてたよ。




「うーん…別に?捨てられちゃったものは仕方なくね?虐待とかに合って奴だって辛かっただろうし、だったらそんな事される前に捨てられた方がよくない?」


「レオンおかしいよ。普通はどんな嫌な奴でも親はいて欲しいじゃん」




仕方ないだろう。


捨て子の俺には普通ってのがわからないんだ。



親だって欲しいに決まってるじゃん。




絶対的味方になってくれる親。
無条件に甘えさせてくれる親。
無償の愛情を注いでくれる親。


ずっと欲しかったよ。
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