Fragile~思い出に変わるまで〜
「じゃあ車で迎えに行くよ?

そうすれば行きも帰りも一緒だし、安心だろ?」


そう提案すると、藤森はほんとうに嬉しそうな顔をして、俺の顔を見つめた。


「いいの?ありがとう!
ほんとに助かる」


藤森のこういうところが素直で可愛いと思う。


俺も思わずつられて顔がフッと緩んだ。


「じゃあ4時半くらいに、そっちに迎えに行くから、待ってて」


「わかった、待ってる

ごめんね?貴重な休みを……

でもこれで相手も納得すると思うから

ほんと長い間、協力してくれて感謝してます」


深々と大袈裟に頭を下げる藤森を眺めながら、俺は急に現実に引き戻された。


そっか……


相手が納得して藤森たちに近づかないことがわかれば、もう会う必要がなくなるんだった。


< 183 / 589 >

この作品をシェア

pagetop