Fragile~思い出に変わるまで〜
彼女は小さく息を吐くと、悲しそうな笑顔でこちらを向いた。


「うん、わかってる……
でもほんと、健が何度も……

私たちを幸せにします……とか

愛し続けますって言ってくれて……


ほんとだったらいいのにって思っちゃったよ」


藤森は切なそうにそう言うと、俯いて黙りこんでしまった。


俺はなんて言葉をかけたらいいかわからなくて、同じように黙りこむ。


そのまましばらく沈黙が続いて、きまずい空気が流れた。


藤森の自宅が近づいてくると、妙に寂しさが募る。


時計を見るとまだ7時を少し過ぎたところだった。


あと少しでもうこの関係も終わりを告げる。


そう思うとこのまま終わるのは忍びなくて、俺はようやく重い口を開いた。


「もうすぐ着くけど……また、なんかあったら連絡しろよ?」


藤森は俯いたまま、小さく首を縦に振る。


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