Fragile~思い出に変わるまで〜
また沈黙は続いて、やがて車は藤森の家の前に着いてしまった。


車を停めると、藤森は俯いていた顔をこちらに向けて、悲しそうな瞳で俺を見る。


それから思いきったように、口を開いた。


「あのさ……

これからもたまにでいいから……


ひなと三人でどこかに出掛けたりできないかな……?」


懇願するような目で、俺を覗き込んでくる。


そんな藤森にほだされそうになって、思わず頷きそうになるのを必死にこらえた。


さとみはもう何ヶ月も我慢してくれている。


情に、流されちゃいけない。


「ごめん……

それは…できない……

これまでもうちのやつにかなり無理させてるし、これ以上は心配かけさせたくないんだ」


掠れた声で絞り出すようにそう言うと、俺は付け足すように謝った。


「ごめんな……」


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