Fragile~思い出に変わるまで〜
「どしたの?
もぉ、いつもの桜井くんらしくもないじゃない?

ほら!笑って笑って!」


内心は焦ってた。


どうしても言ってほしくなかったから……


だけどそんな私の気持ちなんか知らずに、桜井くんは急に車を路肩に停めた。


それから真剣な表情で私を真っ直ぐに見つめる。


「いつも……冗談だと思われてるかもしれないですけど……

俺、さとみさんのことが……




好きです!」


私は彼に聞こえないように小さく溜め息をついた。


やっぱり……


その言葉にどう返事をしたらいいのかわからなくて、私は黙ったまま口を引き結んだ。


私の沈黙をどう解釈したのか、桜井くんが付け足すように慌てて喋りだす。

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