Fragile~思い出に変わるまで〜
桜井は淡々と……でも切なそうに話し始める。


「俺……昔からさとみさんがタイプだって部長にも言ってたじゃないですか?

でも部長の奥さんだし、ずっとただの憧れだったんですよ……」


桜井はそう言いながら、少しだけ非難をこめた目で俺をチラッと見る。


「部長があやさん……でしたっけ?

その人と会社の近くの店で食事しに行ったの……覚えてますか?」


そう言われて記憶を手繰った。


そしてあの時だと思い当たる。


後にも先にも会社の近くで会ったのはあの時だけだ。


頷くと、桜井はその時のことを思い出したのか悲しそうに顔を歪ませて俺に言った。


「あの日……さとみさん……

会社に来てたんですよ」


「……え?」


さとみが?会社に?


そんなこと一言も言ってなかったはずだ。


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