Star blink of twins

　「ハウェル様…？！どちらに行かれましたか？！」

その日―…星神を奉る聖地ラキストゥアの神殿は、ざわついていた。
ただ一人の名を呼んで、神殿の廊下を忙しなく女たちが行き来している。

「こちらにもいませんわ…」

困った様に互いに言葉を交し合う彼女たちは、一様に同じ衣装に身を包んでいる。
それは、この神殿で統一されている女官達の衣服だった。

「何事ですか、騒々しい」



　若い女たちをかき分けて現れたのは、年配の女性だった。
厳しい目つきの女性は、辺りを見回すとその中の一人に声を掛けた。

「ハウェル様はどうしたのです？」

見つめられた女官の一人は、畏まった様子で口を開いた。

「それが…どこにもいらっしゃらなくて…」

「…なんてことでしょう。明日は大事な神事が控えているというのに…」

女性は頭を振ると、もう一度若い女性たちをぐるりと見回す。
その視線は厳しい。

「すぐに探し出しなさい、禊を済ませなくてはならないのですよ」

てきぱきと指示を出され、彼女たちは再び方々に散っていった。
静寂の戻った廊下で、一人取り残された女性は小さな溜息を零す。


「あの方にも困ったものだわ…」

既に慣れっこなのか、彼女はそう呟くと歩き始めた。