Star blink of twins



 女官たちが騒いでいるのを余所に、探し人その人であるハウェル・イース・レゼンティーは女官たちと同じ衣服を身に着けながら悠々と廊下を歩いていた。
一歩一歩歩みを進めるたびに、頭をすっぽりと覆う布の隙間から銀糸の髪がふわりとのぞく。

何度か自分を探す女官たちとすれ違ったのだが、彼女たちは気がつくことはなかった。
どうやら、よほど真剣に探しているのだろう。


 ハウェルは庭園に続く階段をゆっくりと下りながら、ぐるりと空を見渡した。
遠くに見える塀に阻まれ、空は途中で途切れている。


 ハウェルはゆっくりと庭園の中を進み、神殿から見えない位置までくると頭を覆っていた布を取り払った。
豊かな銀髪が解放され、陽光にキラキラと反射する。
空よりも青い紺碧の瞳が、塀に絡みつく蔦を捉えた。

 何度かぐいぐいと蔦を引っ張り、その強度があることを確かめると躊躇することなく塀を登っていく。
力のいる作業だったが、ハウェルは慣れているのか軽快な動作で塀の上まで上りきった。

 途端に広がるのは、青い空と深い青を湛えた海。
思わず目を細めると、安堵したように溜息を零す。

「……!」

塀から下を見つめ、思わずハウェルは絶句した。
< 3 / 10 >

この作品をシェア

pagetop