脱力系彼氏
 病院の御飯は、正直、不味い。きっと、栄養士さんが頭を捻って考えた献立で、頑張って作ってくれているんだろうけど、やっぱり、あたしの口には合わない。
現代人は濃口でダメだ、なんてオッサン臭い考えがあたしの頭に過ぎる。さっきの昼食も、残してしまった。

あたしはテレビを付けて、ぼんやりと画面を見つめた。……面白くない。
毎日こんな生活が続くのか、と思うと、本当に、先が思いやられる。

ふと携帯に目をやると、静かに音を立てて震えていた。オレンジの光は、冴子だ。携帯を掴み、急いでメールを開いた。


送信者:冴子
件名:
―――――――――――――――――――
今から行くから。



やったぁ。冴子が来たら、退屈しなくて済む。自然と笑顔になる。あたしは短く「待ってる」と打って、送信ボタンを押した。

メールの画面になり、何気なく受信ボックスを開いてみると、開かなきゃ良かった、とすぐに後悔した。

嫌なものが目に入った。

昇ちゃんからの、たった1文字のメール。

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