天を衝く槍


12月に入ると、ちらほら雪が降り始めた。


今回の任務は私も漸く出れることになり、初めてアルと組む。


そしてセルペンテだといえど、女二人は危ないだろうというソンジュさんの計らいで、シロさんがついて来てくれることになった。


任務場所に着いてウサギを倒すけど、あの時のように父を殺したウサギが思い起こされることはなかった。


「はっ」


私はウサギを蹴り飛ばして、突く。


ドパッと血が吹き上げてパパッと地面を赤く染めた。


そのウサギはボタボタと血を流しながら2、3歩ふらついた後、ドタンと大きな音を立てて倒れて灰となった。


それからすぐに襲い掛かってくるウサギを倒す。


「……まんまと引っかかったね…」


私とシロさんとアルで背中合わせになっている時、不意にシロさんが悔しそうに呻いた。


―—ひっかかった?


私は彼の言葉の意味が分からず、周りを見た。


暗く、あまり広いとはいえない路地で私達は背を合わせていて、各自の目の前にはウサギが数体。


つまりはウサギに囲まれているわけだ。


「………………」


私はそれを理解して眉を顰めた。


―—誘導されてしまった…
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