ブラック王子に狙われて②
Ⅴ 初めての不安

・浮気?それとも、愛想が尽きたの?



11月中旬。

ついこの間夏休みを過ごしたかと思えば、

あっという間に11月も半ば。


夏休みの勉強のお陰で、

中間試験はクラス順位を4位から3位に上げた。

慧くんマジックの威力は計り知れない。

当の本人は至ってクールで、

不動の1位の座をキープし続けている。


「絢、俺んちでいいか?」

「あ、うん」

「じゃあ、連絡入れとこ」


月末に控えている期末試験対策にと

既に教える気満々の慧くん。

メールを打ち終わった彼は、

うちの両親からも頼まれているみたいで

さっきからブツブツと勉強スケジュールを

脳内で組み立てている模様。


自身の勉強だってあるのに

いつまでも彼に任せっきりでいいのかな……?

結構順位も上がったし、

勉強の仕方もある程度分かるようになったし、

分からない所だけ慧くんに聞くんじゃダメなのかな?


信号待ちで立ち止まっている私達。

繋がれた手を少し強めに握って、彼に合図を送る。


「ん?……何?」

「結構勉強の仕方も覚えたから、慧くん、自分の勉強に専念していいよ?」

「それ、どういう意味?」

「どういうって……」


あ、要らぬことを口走ったらしい。

すこぶる機嫌が悪くなった。


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