ブラック王子に狙われて②
『やっくん』?!
俺は『慧くん』で奴は『やっくん』
何か、奴の方が親しみ感があるじゃねぇか。
イライラ……イライラ……
俺は絢の手を握りしめ、足早に歩いた。
無言で歩く俺に、
「慧くん、怒ってるの?」
「……怒ってねぇよ」
「やっぱり、気になる?やっくんの事…」
「ッ!!……絢、あのさぁ…」
『やっくん』という絢の言葉に反応する俺。
今まで『俺』だけが特別な存在だと思っていた。
けれど、アイツが現れた事で
俺の存在が揺らぐんじゃないかと…。
初めて好きになった女……絢。
その女の過去が気になって仕方ねぇ。
校門を出た所で立ち止まった俺ら。
周りには数人の生徒が。
前ほどキャーキャー言われなくなったが、
それでも1人でいれば声を掛けて来る女共。
周りの生徒の視線を浴びる中、