ブラック王子に狙われて②
俺の視界に絢と見知らぬ男が1人。
しかも、絢の両手を握りしめ、
何だか熱弁している様子。
俺の女に気安く触んなって!!
俺はイラッと来て……
「おいっ、絢!!」
俺は少し声を張って絢を呼ぶと、
俺の声に反応して絢の手を離した男。
その男は振り返り、俺を見据えて
「あっ、神宮寺くんだよねぇ?初めまして。俺、佐伯保尚、絢の幼馴染」
「へ?……幼馴染って?」
「絢から聞いてないの?この春に戻って来て、この高校に編入したんだよねぇ」
何だか挑発するような視線を向けて来る。
ってか、『絢』って人の女を呼び捨てにすんな!!
絢に視線を移すと気まずそうな表情。
俺は冷静を装って……
「へぇ~そうなんだ。……絢、帰るぞ?」
「あっ、うん」
絢は鞄を手にして、
「やっくん、またね」
佐伯に軽く手を振り、俺のもとへ。