ブラック王子に狙われて②
10秒待っても20秒待っても来る気配ゼロ。
全くもって微動だにしない絢に、
さすがにイライラ度急上昇。
「怒らせたいの?」
「べ、別に……そんなじゃ…」
「じゃあ、何」
「ホントに……慧くん、ここで寝るの?」
「下のリビングで寝ろって?」
「あ、いや……そういうわけじゃ……」
「じゃあ、どういう意味?」
最近、触るのも我慢してたし
もちろんそれ以上のことも我慢してたってのもあるし
今日が1周年ってのもあるから、
正直、俺、限界なんですけど。
昼間はあんなにも自分からくっついて来てたのに
何これ、軽く拒否られてるみたいで凹むんだけど。
これが俺と絢の温度差なんだよなぁ。
分かり切ってることなんだけど、
やっぱりショックというか。
無理やり襲うことも強引に従わせることも
出来なくも無いけど……。
やっぱり、絢自身から俺を求めて貰いたいから。
俺はベッドの上に出しておいたTシャツを着て
その足で部屋の照明を少し落として
ベッドに潜り込んだ。
「おやすみ」
もう知らねぇ。
こんなにも歩み寄ってやってんのに、すげぇ腹たつ。
今彼女に近づいたら、射竦めるような視線と
かなり強めな言葉しか出て来そうになくて。
自分自身に言い聞かせるように瞼を閉じた。