恋愛喫茶店 ~恋と一緒にスイーツを~

ほんのり苦~いガトーショコラ


「じゃあ成瀬君、またね。」


電話と約束を終えた私は、携帯を折りたたんで、カバンの中に戻した。


「コト~~~!私のこと、ほっとかないでよぅ。」

「ほ、ほっといてないよ!電話してたからしょうがないじゃん。」

「ほんとにぃ?誰もいないのに小指を立てて、ゆびきりげんまんしてたのにぃ?」

「そ、それは・・・その・・・」


正直に言うと、成瀬君との電話に夢中でミィのことをちょっと忘れかけていた。


「成瀬君が指輪くれて、また会おうって。帰ってきたら、俺の方から告白するって言ってくれて。」


せめてもの、罪滅ぼしにと、ミィに全てを話す。


「そ、そうなんだ。良かったじゃん、コト。いや、やっぱり幸せなのはイイですね~。」


普通なら喜んでくれるミィが、何故かソワソワしてる。口調もおかしいし、一体どうしたんだろう?


ミィのポケットから、音楽が流れ出す。きっと携帯の着信音だろう。ミィの大好きなアーティストの曲だった。


「・・・もしもし。そうそう、その道真っ直ぐ。え?もう着いちゃうの?その前に、ちょっと言いたいことが・・・」


扉が開く。カランとベルが鳴る。続けて聞こえるたくさんの足音。


「へ~、こんなとこに喫茶店あるんだ。私全然知らなかった。あ、若宮さん、一応放課後に暇してた人達連れてきたよ。」


「あ、綾瀬さん、今日一日お疲れ様~。ほら、お菓子とジュース、いっぱい買ってきたよ。」


「た、頼むから、早くこれを置かしてくれ。2リットルのペットボトル10本は重すぎる。女子も男子ばっかに荷物持ちさせんなって。」


喫茶店の人口密度が一気に上がった。マスターも含めて、たったの3人から20人くらいに。新しい空気の匂いが喫茶店に入ってくる。
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