恋愛喫茶店 ~恋と一緒にスイーツを~
私は今、下駄箱近くのトイレの中にいる。
トイレ本来の使用目的とはかけ離れた、「隠れる」為に。
こうなっているのも、全部フォークダンスのせいだ。
まあ、時間も無いことだし、しょうがなかったんだけど。
ポケットの中の携帯電話が震えて、太ももが適度にマッサージされる。
取り出して、通話ボタンを押すと、
「コト!成瀬君、下駄箱に向かってるよ!」
ミィからの嬉しい知らせが飛び込んできた。
「ありがとう。30分振りに外に出られる~。」
洗面所の鏡で髪を整えて、焦る気持ちを落ち着ける。
「頑張って!今日逃したら、文化祭当日までチャンス無いよ!」
「大丈夫!今日、成瀬君にちゃんと伝えるから。」
今日は金曜日で、文化祭は日曜日。
当日は忙しくなるだろうから、伝えるなら今日しかないと思った。
ミィからの励ましをもらって、電話を切る。
トイレの戸を開けて、駆け足で成瀬君のいる下駄箱へと向かった。