恋愛喫茶店 ~恋と一緒にスイーツを~
駆けつけた時、成瀬君はちょうど下駄箱から、靴を取り出している所だった。


「成瀬君、今から帰るとこ?」


偶然を装って、声をかける。


「あれ、綾瀬?うん。今から帰るとこだよ。不安定な天気だしな。」


そう言って成瀬君は目を外へ向ける。

空が灰色で覆い尽くされていて、雨が今にも降り出しそうだった。


「それにしても、綾瀬とこんな時間に会うなんて偶然だなぁ。何か用事あったのか?」


「え?……う、うん。ちょっとトイレに……」


30分程の長い長~いトイレだったけどね。


「そっか。それじゃ、ついでだし一緒に帰る?」


成瀬君からの突然で嬉しい提案に、私は首を全力で縦に振ることで、OKの意思表示をした。


成瀬君にとっては「偶然」で、私にとっては「必然」の下駄箱の前での出会い。

でも、ここから先は今日の天気の様に、不安定で不確実だ。


きちんと成瀬君をダンスに誘えるのかという疑問を抱きながら、一緒に学校を後にした。
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