Hurly-Burly3 【完】

それは、ボヤけるようなか細い声であたしには

聞き間違いなのかと思ってしまうほどの弱い声。

「ごめ・・・・ん・・」

振り返って京君を見ると一筋の涙が頬を伝って

毛布に染みを作った。

こういう時、あたしはどうしたら良いのか途端

に分からなくなる。

起こしてあげた方がいいのか?

眠ってるのにそれを妨害するようなことしていい

分けがない。やめよう。

怖い夢でも見てるのかな?

心なしか少し額に汗が浮かんでいる。

手を伸ばして触れようと思った瞬間、

夏休み前の出来事を思い出して手を引っ込めた。

また、嫌がられたら次こそ嫌われそうな気がして

引っ込めた手を見つめる。

人の嫌がることはしたくない。

でも、心配だ。涙が出るほど怖い夢見てるなら

助けてあげたいものだ。

綺麗な涙を拭ってあげることすら出来ないのは

むず痒いものがあって手のひらを握り締める。

我慢よ、日和!

ここはハンカチを置いて去るべきよね。

制服のポケットから花柄のハンカチを取り出して、

そっと京君の膝に乗せた。

果てしないほど遠い距離。

たった数センチでも京君とあたしの間にある壁は

それこそ何千里も離れているかのように感じる。

それが多分心の距離ってヤツなのかもしれない。

歩み寄って歩み寄っての姿勢で頑張るしかない。

いつか、きっと京君との距離が縮まる日が来るかも

しれないし、それまであたしが走って近づかなきゃかも

しれないけど、今日はやめておきます。

ハンカチの上にポケットからまた1つ取り出した物を置いた。

目が覚めても京君が寂しくなりませんように。

怖い夢なんて吹き飛んで次見る夢はどうか良い

夢がみれますようにと願を掛けて葡萄味のキャンディー

をそっと置いた。

そういえば、京君は甘いもの駄目だったんだっけ?

こういう時のために何か対策を練るべきだろうな!!

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