淫らな月
俺のこの気持ちは
梅香を独占してきたからか…
父も満足そうに彼の申し出を反対しない
猫を青様と呼び
主のように崇めたてる…
おかしくないか…
そう思っているのは俺だけか?
父がいいというものを
反対も出来ず
暮らしていけるのかと聞けば
二人とも充分に生活していけるだけの
金はあるという…
俺は反対をする理由も無くなった…
見守るしかなさそうだ…
俺には小夜がいる…
こいつに対する責任もある
でも紅のようには愛せないと思う…
もう二度とあんなふうには…
俺は彼女に愛されていた…
命懸けで…
その事実に俺は救われた…
長年の恨みや歪んだ想いも消えていく
そんな気がした…
小夜とともに生きていこう…
子供を作り、狼族を存続させること
それがおれの役目だろう…
俺は小夜にプロポーズした…
返事は待つつもりだったが直ぐに
いいと言う返事
これがこいつの気持ち…
全てを知りながら…も
大事にしようと思った。
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