淫らな月

~セイトside~

美桜の家に入って彼女を見た・・
僕の覚えている
外見とは似ても似つかない女の子だった・・
黒く長い髪・・
それを左右でかわいいピンで止めている・・
真っ赤なフレアスカート・・
スタイルは抜群のようだ・・
華奢な手足に大きな胸・・細いウエスト・・
あの頃より
当たり前だけど女性らしくなっている
隠しても色気がある・・しなやかな・・
この香り・・やっぱり彼女だ・・
僕が入ってきた途端・・
固まっているのが分かった・・
匂いがしないだろう・・違うかなって思った?
残念・・僕でした・・
隠しても少しの表情と溜息で分かるよ・・
会いたくなかったのか・・
ショックすごく・・
僕は会いたくてしょうがなかったのに・・
何年も探してたのに・・
彼女を観察しながら
大地たちと学校の事とか話す・・
彼女はそれを分からないだろうけど
興味深そうに聞いている・・
話の合間に美桜が反応して
泣きそうになったりする・・
それを心配そうに見ている・・
大地をかばったりして・・
熱いまなざしを向けている・・
もしかして大地のこと好きなのか?
だったら僕はとんだピエロじゃないか
チョコ一つで舞い上がって
アメリカからわざわざ帰ってきたのに・・
それどころか・・
何年も心を奪われて探してたのに・・
だんだん腹が立ってイライラしてきた・・
隣の大地にも伝わるのか心配そうに僕を見る・・
いつまでたってもらちが明かない
もう我慢の限界
僕から聞く・・
「ところで・・」と
チョコを送ってくれた理由から聞いてみるか・・
あげる人がいないから美桜と一緒に送っただって・・もっともらしい理由をつけている・・
それすらも本当は大地にあげたくて僕はそれをごまかすためという気がしてくる・・
もう容赦しない
今度は変装の事を問い詰めてやる・・
僕は意地悪モードになった・・
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