ある冬の日



オレも入試が近づいてきたとき、ちょっとした事でも縁起が悪いような言葉はなるべく言わない思わないようにしようとか、それを行動にうつさないようにしようとか考えてたもんな、今思えば。



例えば物を落とさないようにしようとか、今年は大好きなスキー場にも行かないと心に誓ったりだとか。



半信半疑のまま縁起が良いとされる食べ物とかお菓子を食べてみたりだとか。



こういうとき、おまじないとかジンクスをちょっと信じてみたりしてしまうのは、多分オレだけじゃないと思う。



男でも自分の一生がかかったときは普段全然気にしないような事も気になってしまうもんなんだよな。



何せ初めての受験だったわけだし。



こいつもシャトルが“落ちる”ところなんか見たくないんだよな、多分、とオレは思った。



だからオレは、



「おう!おもしれーなそれ。んじゃーお前ちゃんとやれよ。さっきの必殺スマッシュみたいにあんまり気合い入れすぎんなよ」



とそいつに言った。



< 46 / 152 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop