揺れる水面 映る月影は何処から
此処は京の都だ。
寺院も多い為、街を修行僧が歩いているのは大して珍しいモノではなかった。
妃絽は気に止めることなく、僧侶の横を通り過ぎようとしたが――。
「君は未来に帰りたいですか?――望月妃絽さん」
僧侶はすれ違い際にそう言った。
未来から来たことは新選組のごく一部の幹部しか知らない。
なのに、何故初対面の僧侶がそれを知っているのか?
妃絽は足を止めると、身構えた。