ブルーブラック【番外編】
「姉さん····がっつきすぎ」
「え?!!何よぅ!智!!べっつにいいでしょお!?」
「そうよ~私達百合香ちゃんと仲良くなりたいだけなのに!」
いつの間にかテーブルの向こう側にいた筈の姉二人は百合香の両脇に移動して、3対1の格好となっていた。
「ね、百合香ちゃんは智と同じ職場なんでしょう?」
「智と一緒に働いてるの?」
「え、いえ…前は直属上司でしたけど、今は…」
百合香は左右を交互に首を振りながら答える。
向かいにいる智は手を額にあててぐったりしていた。
「ふぅん、あ!私ね!雑誌編集の仕事してるんだけど、今度オトナ女子向けの文具を――」
「お姉ちゃん、さすがに今仕事の取材は···」
姉妹はこれがいつも通りのようで、百合香はそんなやりとりにただ巻き込まれているだけだった。